円安・関税で輸入車は今売るべきか|2026年秋の中古車相場と「潮目」の読み方
「相場が高いうちに売った方がいい」と言われ続けて、もう2年近くになります。実際に中古車の相場は上がり続けてきました。ただ、そろそろ「いつまで続くのか」が気になっている方も多いはずです。
結論から申し上げると、2026年8月時点でも相場はまだ高値圏にあります。ただし、これまでとは少し違う数字が出始めました。落札単価は上がっているのに、オークションの成約率が前年を下回ったのです。
これは「相場が崩れる」という話とは違います。ただ、品薄で値が吊り上がってきた状態から、需給のバランスが変わり始めた可能性を示すサインではあります。
弊社グッドディールは大阪で輸入車・高級車の買取と海外への直接販売を手がけています。オークション相場と海外の需要を、日々の仕入れと販売の両側から見ている立場です。今回は公表されている一次データをもとに、2026年秋にかけての相場をどう読むか、そして「高いうちに売る」という判断をどう考えるかを整理します。煽るつもりはありません。判断材料をお渡しするための記事です。
2026年秋、輸入車の中古相場はどう動いているか
まず、業者間オークション最大手であるUSSが公表している実績を見ます。中古車の買取価格は、最終的にこのオークション相場に連動して決まるため、もっとも信頼できる指標のひとつです。
| 2026年 | 出品台数 | 成約台数 | 成約率 | 成約車両単価 | 単価の前年同月比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 348,991台 | 224,073台 | 64.2% | 122.1万円 | 114.6% |
| 5月 | 281,669台 | 185,404台 | 65.8% | 131.0万円 | 110.6% |
| 6月 | 319,720台 | 209,525台 | 65.5% | 131.5万円 | 106.9% |
| 7月 | 352,947台 | 225,196台 | 63.8% | 134.5万円 | 108.1% |
※出典:株式会社ユー・エス・エス「USSオートオークション実績(速報)2027年3月期 オークション月次データ」(2026年8月時点で公表されている最新値)。USS公式サイトの月次データで誰でも確認できます。
7月の成約車両単価は134.5万円で、前年同月比108.1%。同社の月次データを2025年9月までさかのぼると、成約車両単価は前年同月比で上昇が続いており、11か月連続の上昇となります。相場が高値圏にあることは、数字の上でもはっきりしています。
買取の現場で日々感じるのも同じで、2年前なら考えられなかった金額が普通に出るようになりました。特に輸出需要のある車種は、国内の小売相場から逆算した金額を超えることも珍しくありません。
【重要】相場の潮目をどう読むか ― 単価上昇と成約率低下が同時に起きている
ここが今回のリライトで最もお伝えしたい部分です。上の表を、単価ではなく成約率の列で見直してみてください。
| 2026年 | 成約率 | 前年同月の成約率 | 前年との差 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 64.2% | 61.1% | +3.1pt |
| 5月 | 65.8% | 64.5% | +1.3pt |
| 6月 | 65.5% | 63.4% | +2.1pt |
| 7月 | 63.8% | 66.2% | −2.4pt |
4月から6月まで、成約率は前年を上回り続けていました。それが7月に入って初めて前年を下回ったのです。しかも同じ7月、出品台数は前年比115.0%と大幅に増えています。
この2つを並べると、何が起きているかが見えてきます。オークションに出てくる車が増え、その一方で買い手がすべてを買い切れなくなってきた——つまり、これまでの「品薄だから値が吊り上がる」という構図が、少しずつ緩み始めた可能性があります。業界紙もこの動きを「需給バランス改善か」という慎重な見方で報じています。
誤解のないよう申し上げますが、これは相場が崩れるという意味ではないという点です。単価そのものは11か月連続で上昇しており、高値圏であることに変わりはないからです。1か月分の数字だけで断定できる話でもありません。
ただ、この高値がいつまでも続く前提で判断を先延ばしにするのは、少し危うくなってきたとは言えます。相場が上がり続けている局面では「もう少し待とう」が正解でしたが、需給が緩み始めた局面では、その判断が裏目に出ることもあり得ます。正直なところ、私たちプロから見ても、ここは注意深く見ておくべき変化だと感じています。
円安が中古輸入車の価値を押し上げる仕組み
そもそも、なぜここまで相場が上がってきたのか。背景には円安があります。仕組みは大きく2つです。
① 新車価格の上昇が中古需要を押し上げる
円安が進むと、輸入車の新車価格は上がります。輸入にかかるコストが、そのまま車両価格に反映されるためです。新車が高くなれば、「それなら程度のいい中古を」と考える方が増える。中古市場に需要が流れ込み、相場を押し上げます。
② 海外バイヤーから見て日本の中古車が割安になる
もうひとつが輸出です。円安になると、外貨を持つ海外のバイヤーから見て日本の中古車は割安になります。結果として輸出需要が高まり、国内の相場が押し上げられる。実際、日本からの中古車輸出台数は2025年に170万8,000台(前年比9.1%増)と、3年連続で過去最高を更新しました。輸出先はUAEが首位で、アフリカや中南米の需要も伸びています。
肝心の為替ですが、2026年8月時点でドル円は155〜160円台で推移しています。ただし7月末には、日本の単独介入に続いて日米による協調介入が実施されました。円安が一方通行で進む局面ではなくなってきているという点は、押さえておく価値があります。為替は相場を動かす最大の変数のひとつだからです。
※為替水準は日々変動します。上記は2026年8月時点の市場報道に基づく記載です。
トランプ関税15%が日本の中古車市場に与える影響
もうひとつ、相場の話をするうえで避けて通れないのが米国の関税です。ここは混同されやすいので、順を追って整理します。
関税の直接的な影響
2025年9月4日、米国が日本車に対する自動車関税を引き下げる大統領令に署名しました。従来25%だった追加関税を12.5%に下げ、既存の2.5%と合わせて合計15%とする内容です。これにより、日本メーカーの対米輸出の負担は従来の27.5%から軽くなりました。
中古車輸出への影響は限定的
ただし、ここが重要な点です。この関税は新車の対米輸出に関する話であり、日本の中古車輸出に直接効いてくるものではありません。米国には製造から25年を経過した車両でなければ輸入できないという規制があり、そもそも日本の中古車の主要な輸出先ではないためです。
日本の中古車が向かう先は、UAE(アフリカ・中東への再輸出ハブ)、ロシア、アフリカ諸国、中南米、東南アジアなどです。関税のニュースを見て「中古車も売れなくなるのでは」とご心配される方がいらっしゃいますが、相場に効いてくるのはむしろ次の要素です。
- 為替(円安が進めば輸出需要は強まり、円高なら弱まる)
- 輸出先国の規制・税制(実際、ロシアは2025年12月にリサイクル税を引き上げ、2025年の対ロ輸出は18万6,584台と前年比6.3%減となりました)
- 海上輸送の安定性(コンテナ・船腹の確保状況)
お客様にお伝えすると驚かれることが多いのですが、輸入車の買取価格を左右しているのは、国内の人気よりもこうした海外側の事情である場合が少なくありません。
海外バイヤーが今、何を買っているか
| カテゴリ | 代表車種 | 主な輸出先 | 2026年8月時点の需要感 |
|---|---|---|---|
| 大型SUV・本格4WD | ランドクルーザー、レクサスLX | 中東・アフリカ・豪州 | 非常に強い。供給が追いついていない状態が続く |
| 高級ミニバン | アルファード、ヴェルファイア | 東南アジア | 強い。ただしモデルサイクルの影響を受けやすい |
| 欧州プレミアムSUV | カイエン、X5、GLE | 中東・中南米 | 堅調。国内相場も高値圏 |
| 実用ワゴン・商用 | ハイエース等 | アフリカ・アジア全域 | 安定して強い。過走行でも需要がある |
| セダン・小型輸入車 | Cクラス、3シリーズ、Aクラス | 国内中心 | 横ばい〜やや軟調。輸出の押し上げが効きにくい |
※上記は2026年8月時点の当社の取引実感および公表されている輸出統計の傾向に基づく整理です。実際の評価は車両の状態・装備・仕向地の需給により変動します。
海外のバイヤーが実際に何を見て、いくらで買っていくのか。オークションと輸出の実際については、当社代表が業界の内側を包み隠さず話したインタビュー(前編)で詳しくお伝えしています。相場が「誰によって」決まっているのかが分かる内容です。
大阪エリアでは特に、この輸出需要の恩恵を受けやすい環境があると感じています。大阪港という輸出動線を持つため、輸出前提の査定が組みやすいのです。関西のお客様から「思ったより高かった」というお声をいただく背景には、この地理的な事情もあります。
車種別「今売るべきか」判断ガイド
大型SUV・4WD(ランクル系・レクサスLX等)→ 高値圏。ただし出口を意識する時期
もっとも相場が強いカテゴリです。新車の納期が長いことも中古相場を支えています。ただ、このカテゴリは相場が高い分、下げに転じたときの下落幅も大きくなりがちです。数年以内に手放す予定があるなら、今の水準は十分に検討する価値があります。
欧州プレミアムSUV(カイエン・X5・GLE等)→ 高値圏、急ぐ必要は薄い
国内需要と輸出需要の両方に支えられており、相場は安定しています。慌てて動く局面ではありませんが、モデルチェンジの発表があった場合は状況が変わります。
高級ミニバン(アルファード・ヴェルファイア)→ 動向次第で機動的に
東南アジア需要に支えられていますが、新型の登場や供給状況で相場が動きやすいカテゴリです。「様子を見る」より「定期的に相場を確認する」姿勢が向いています。
セダン系・小型輸入車(Cクラス・3シリーズ・Aクラス等)→ 相場の追い風が弱い
輸出需要の押し上げが効きにくいカテゴリで、国内の中古車市場の需給がそのまま反映されます。相場高騰の恩恵を受けにくい分、年式・走行距離の進行による値下がりの方が影響として大きくなります。乗り続けるほど下がっていく、という一般的な値落ちの考え方で判断されるのが妥当です。値落ちしにくい車種の考え方は高級輸入車のリセールバリューを車種別にまとめた記事で詳しく解説しています。
売却タイミングを見極める3つのサイン
相場そのものを予測することはできません。ただ、「潮目が変わったかもしれない」と気づくためのサインはあります。
サイン①:為替が円高方向に大きく動いたとき
輸出需要は為替に直結します。円高に振れれば海外バイヤーの購買力が落ち、国内相場への押し上げも弱まります。2026年7月末には日米の協調介入が実施されており、円安が一方通行で進む前提は置きにくくなっています。
サイン②:オークションの成約率が数か月続けて下がったとき
本記事の前半で触れた指標です。単価だけでなく成約率を見ると、需給の変化が先に表れることがあります。USSの月次データは公開されているので、どなたでも確認できます。
サイン③:主要輸出先の規制・税制が変わったとき
ロシアのリサイクル税引き上げのように、輸出先国の制度変更は特定カテゴリの相場を直撃します。中東・アフリカ向けの規制が変われば、大型SUVの相場にも影響が出ます。
円高シナリオも想定しておく
ここまで円安を前提に書いてきましたが、逆の展開も想定しておくべきです。
仮に為替が円高方向に大きく動いた場合、輸出需要による押し上げは弱まります。特に輸出比率の高い大型SUVや高級ミニバンは、その影響を受けやすいカテゴリです。国内需要中心のセダン系は、逆に為替の影響を受けにくいという特徴があります。
どの程度下がるかを数字で予測することはできません。ただ「輸出需要で持ち上がっている分は、為替が戻れば剥がれ得る」という構造だけは理解しておいて損はないと思います。
相場は判断軸のひとつにすぎない
ここまで相場の話をしてきましたが、最後に大切なことをお伝えします。売り時を決めるのは相場だけではない、ということです。
年式が何年目か、走行距離がどの節目に近いか、車検までどれだけ残っているか。これらは相場とは無関係に、査定額を左右します。相場が高くても、車検を通した直後で走行距離が10万kmを超えていれば、期待した金額にならないこともあります。逆に相場が少し落ち着いても、条件が揃っていれば十分な金額がつくこともあります。
年数・走行距離・車検・相場の4つを統合して判断する方法は、輸入車の売り時を4つの判断軸で整理した記事にまとめました。本記事は「相場」という1つの軸を深掘りしたものですので、全体像はそちらをご覧いただくと分かりやすいと思います。
まとめ:まだ高値圏、ただし「永続する前提」は置かない
- 2026年7月のオークション成約車両単価は134.5万円・前年同月比108.1%。11か月連続で上昇している
- 一方で7月の成約率は63.8%と前年(66.2%)を2.4ポイント下回り、今期に入って初めて前年割れとなった
- 出品台数は前年比115.0%と大幅増。品薄で吊り上がる局面から、需給が緩む方向への変化の兆しがある
- 中古車輸出は2025年に170万8,000台と3年連続で過去最高。輸出需要そのものは引き続き強い
- 米国の自動車関税15%は新車の対米輸出の話で、中古車輸出への直接的な影響は限定的
- 為替は2026年8月時点で155〜160円台。7月末に日米協調介入があり、一方通行の円安を前提にはできない
今すぐ売るべきだ、と申し上げるつもりはありません。ただ、相場が高い局面ほど「自分の車が今いくらなのか」を把握しておく価値は大きくなります。数字を知ったうえで、待つという判断をされるのも当然ありです。
よくある質問
Q中古車相場はもう天井なのですか?
天井かどうかを断定できる材料はありません。オークションの成約車両単価は2026年7月で134.5万円・前年同月比108.1%と11か月連続で上昇しており、水準としては依然として高値圏です。ただし同じ7月の成約率は63.8%と前年の66.2%を下回り、今期に入って初めて前年割れとなりました。出品台数が前年比115.0%と大幅に増えていることと合わせると、品薄で値が吊り上がる局面から需給が緩む方向へ変化し始めた可能性はあります。1か月の数字だけで判断はできませんが、高値が永続する前提で先延ばしにするのは避けた方がよい局面だとお考えください。
Qトランプ関税15%は中古車の輸出に関係しますか?
直接的な影響は限定的です。2025年9月に署名された大統領令は、米国が日本車に課す自動車関税を27.5%から15%へ引き下げる内容で、これは新車の対米輸出に関するものです。米国には製造から25年を経過した車両でなければ輸入できないという規制があり、日本の中古車の主要な輸出先ではありません。中古車の相場に効いてくるのは、為替、輸出先国の規制や税制、海上輸送の安定性といった要素です。実際にロシアが2025年12月にリサイクル税を引き上げた際は、2025年の対ロシア輸出が18万6,584台・前年比6.3%減となりました。
Q円高になったら買取価格はどれくらい下がりますか?
下落幅を数字で予測することはできません。ただし構造としては、輸出需要によって押し上げられている分は、為替が円高方向に戻れば剥がれ得ると考えられます。影響を受けやすいのはランドクルーザーやレクサスLXなどの大型SUV、アルファードなどの高級ミニバンといった輸出比率の高いカテゴリです。逆に国内需要が中心のセダンや小型輸入車は、為替の影響を受けにくい代わりに、相場高騰の恩恵ももともと小さい傾向があります。2026年7月末には日米協調介入が実施されており、為替の前提は流動的です。
Qオークション相場と買取価格はどのくらい連動しますか?
買取価格は業者間オークションの相場を基準に組み立てられるため、連動性は高いといえます。ただし完全に一致するとは限りません。買取業者がオークションに出品する前提で査定するのか、自社の店頭で販売するのか、あるいは海外へ直接輸出するのかによって、同じ車でも提示できる金額が変わるためです。海外への直接販売ルートを持つ業者の場合、オークション相場から逆算した金額を上回る評価ができるケースもあります。USSの月次データは公開されているので、大まかな相場の方向感はご自身でも確認できます。
Q今は売り時ですか、それとも待つべきですか?
相場という1つの軸だけで見れば、高値圏にある今は検討する価値のある局面です。ただし売り時は相場だけで決まるものではなく、年式・走行距離・車検残といった車両側の条件も同じくらい影響します。たとえば車検を通した直後や、走行距離が10万kmの節目を超えた直後は、相場が高くても期待した金額にならないことがあります。逆に条件が揃っていれば、相場が少し落ち着いても十分な評価がつくことがあります。まずは現時点の査定額を確認したうえで、待つかどうかを判断されるのが確実です。
※本記事に掲載しているオークション実績は、株式会社ユー・エス・エスが公表している「USSオートオークション実績(速報)」(2026年8月時点で公表されている最新値)に基づきます。中古車輸出台数は業界団体が公表する2025年実績、燃料・為替・関税に関する記載は2026年8月時点の公的発表および報道に基づく参考情報です。相場は市場動向・為替・車両状態により変動しますので、実際の買取金額は査定にてご確認ください。最新の相場動向は各公式発表をあわせてご確認ください。
株式会社グッドディールが大阪で選ばれる理由
大阪・関西圏を中心に輸入車・高級中古車の買取と販売を手がける私たちグッドディールは、単なる中古車業者ではありません。お客様が大切にしてこられたお車の価値を、プロの眼識で正しく評価し、次のオーナー様へと橋渡しをするパートナーでありたいと考えています。
相場が動く局面では、どの販路を持っているかで提示できる金額が変わります。当社は東南アジア・中東圏への直接販売ルートを保有しており、国内のオークション相場から逆算した金額だけでは見えない需要を、査定に反映できる場合があります。大阪港という輸出動線を持つ立地も、関西のお客様にとっては利点になるはずです。残価設定型クレジットやローンでお支払い中のお車についても、信販会社への残債精算から所有権解除、名義変更まで当社が代行します。
「まだ売ると決めたわけではないが、今の相場だけ知っておきたい」——そうしたご相談も歓迎しています。まずはお気軽にご相談ください。LINEでもお電話でも、おおよその査定額をすぐにお伝えできます。